設立趣旨

設立趣旨

 長引く経済の低成長、出生率低下による若年人口の減少、学力の低下、政局の不安などにより、日本経済の先行きには戦略が無く、不透明です。加えて国際金融市場による翻弄により、エネルギーや食料の確保など、国民生活の基本に関わる部分にまで危機的状況が迫ってきており、日本経済は世界から取り残されつつある感すらあります。資源の無い日本にとって「モノづくり」は実態経済としての経済発展の源です。戦後経済はこの推進力により目覚しい発展を遂げましたが1990年代のバブル崩壊により内需が減少し、日本の大企業は海外市場の開拓、海外への直接投資により、海外へ自らの生き残る道を選択しました。しかし同時期に東西冷戦の終結を迎え、ロシアや中国の世界経済への参入が始まり、日本企業だけでなく世界の先進国が多くの新興諸国への投資を行い、このことが一挙に経済のグローバル化を招くこととなりました。このことは国際競争力の激化を招き、大企業といえども勝ち組、負け組みが明確となることとなりました。
 このような時代にあって「モノづくり」の中小企業の多くは、自ら海外進出をして市場開拓することもままならず、新興諸国とのコスト競争に晒され、大企業工場の海外移転による受注量減少などにより、その存立がおびやかされることとなりました。しかし、このような時代にあっても経営環境の変化に対応した経営革新を行った中小企業があり、それらは高付加価値化、技術の差別化などにより国際競争力を持った世界の「オンリーワン」企業として高収益の優良な元気企業へと変身しています。
 これからの時代を生きていく中小企業は、このように経営環境の変化に対応した不断の経営革新を行い、経営環境を自らの敗因のせいにしないで、自立し市場での存在価値を高めていく必要があります。しかし大企業と異なり多くの経営資源を持たない中小企業の1社のみの努力は限られており、複数の企業間、有識者、行政や金融機関、さらには地域社会との連携が必要です。私達はこの実現のため、地域の企業経営者が中心となりこれらを支援する多くの人達や機関の連携を行い、様々な企画をコーディネートしながら、地域社会の振興に貢献することを目的としてNPO法人の設立を行います。


申請に至るまでの経過

 2005年に始まったITコーディネータを中心とする任意団体「モノづくり応援隊in大田区」の活動は3年を経過し、その間多くの中小企業の経営支援を行って参りました。活動の内容は多岐に渡りましたが、その基本は経営革新であり、経営基盤の強化を第一として参りました。
 しかし、個々の企業の支援を行っておりますと、共通する課題や1社のみでは対応できない地域社会全体に関わる大きな課題なども明らかになって参りました。また、ITコーディネータに対する企業側からの期待も、個々の企業への支援のみではなく、これら課題へのコーディネータとしての役割が大きいことも明らかになって参りました。
 しかし、コーディネータは新たな企画や連携を支援することは出来ても、課題の解決を企業活動により自ら実践することは出来ません。そのため任意団体「モノづくり応援隊in大田区」を発展解消し、地域の企業経営者が運営の中心となり、コーディネータが事務局機能を分担する組織に置き換えることと致しました。
 これからも中小企業による「モノづくり」の日本の中心にある大田区が、より一層繁栄し、地域社会の活力を継続して行くためには、多くの方々と共に課題を解決して行かなければなりません。そのためには経済力の源である企業が先頭に立って、自ら経営革新を行いながら、環境、国際化、情報化、技術、雇用、社会教育などの多方面の変化に対応し、豊なまちづくりを推進する必要があります。この構想を大田区の企業経営者や関係する団体などに相談しながら調整し、この志を共有する企業経営者の賛同を得て、平成19年12月に設立発起人会を開き、設立の趣旨、定款などを審議しました。
 平成20年1月26日設立総会を開き、発起人より設立の趣旨、定款、平成20年度の事業計画及び収支予算、設立当初の役員などを提案し、審議の上決定いたしました。

平成20年 1月 26日 代表者  田中 宏和